戦後2位の得票率で歴史的快挙を遂げた小泉自民党

smallworldjp2005-09-12

衆院選が終わった。まず特筆すべきは、自民党の圧倒的な勝利である。自民の優勢は投票前の何日もの世論調査で明らかになっていたが、ここまでの大勝を予測した者がいるであろうか。出口調査(による獲得議席予想)では自民は300以上と伝えられた。最も、最終的な獲得議席数296は、その予測に近かった。また、比例区東京ブロックでは、もう一席議席を確保できたにもかかわらず、小選挙区当選者を除いた7名の当選を果たしてしまい、ドント方式による票の分配の結果、社民党の比例1位候補が「たなぼた当選」した。これを見ても明らかであるが、自民執行部はここまでの得票率を予想していなかったに違いない。

自民の「圧勝度」戦後2位 議席占有率61.7%
11日投開票の総選挙で自民党は296議席を獲得する地滑り的な圧勝を収めた。定数480に占める議席の割合は戦後2番目に高い61.7%を記録し、女性の当選者も過去最多に押し上げた。

戦後延べ23回行われた衆院選の中でも、池田勇人自民党4代総裁に就任した、1960年の総選挙に次ぐ快挙である。また、若い世代の無党派層が多かったことも、着目すべきである。無党派層の若い世代は「民主」ではなく、「自民」を選んだのだ。それが明らかになっただけでも、今回の選挙は大義があったと言えよう。

だが、民主が選ばれないことは自明であった。民主党の掲げるネクストキャビネットには、「国家主権を外国に委譲する」とあった。それだけではない。中国のために靖国参拝をすべきではない、と言い続けたのが岡田であった。年金、少子化、税金、郵政の問題では、果敢に自民党に対抗意識を燃やしていた。厚生年金と共済年金の一元化や、郵政公社郵便事業だけは残すとも宣言していた。

民主が大敗を喫した理由は明らかだ。実質、社会党である事を隠蔽し、マスコミに露出させる議員は新進党自由党系の言わば「右寄せパンダ」の保守論壇を好んだ。だが、国民の目は節穴ではなかったのだ。民主党中国共産党のリモコンで操作する、傀儡政党であると見抜く力があった。ネクストキャビネットの閣僚名簿を見れば、社会党系候補者しか配置していないことは明らかだった。

番組の中でアメリカ事情に精通した小西克哉さんが「先の大統領選挙に似ている」と言ったのは至言だ。政策から言ってもイラク侵略をめぐる世界の世論から言ってもケリーが勝つことは当たり前のようであった。しかし実際に票を入れたのは今回ニューオリンズで佃煮になっている太った黒い人たちである。

投票行動を分析してみると正に私が指摘したように20代30代の低所得者層が「小泉いこーぜ」とお出かけになったようだ。その勢いで日頃から働いていただきたいものだ。
http://www.diary.ne.jp/user/31174/

そして、小泉劇場がうまくいったこともあるが、公明との連携が自民にとっては相対的に得をした。東京小選挙区では、12区を除いては公明党候補者は一人しか出馬していない。公明支持者は選挙区は自民、比例区は公明に入れたのは予想に容易いが、それとは逆に小泉劇場に感化された無党派層は、選挙区も比例区も自民に入れたのではないかと踏んでいる。

何と言っても驚くべきことは、25の東京選挙区のうち実に自民が23区を制覇していることだ。そのうち東京12区には、自民からは出馬していないので、実質24戦23勝である。2004年の参院選を見れば明らかであるが、東京は民主が強かった。また、前回の都議会選は敗れたが、改選数を超えた。

だが、今回だけは勝手が違ったようだ。小泉氏の「(郵政民営化のためなら)殺されてもいい。」といった発言が共感を呼んだのだろう。自民圧倒的多数の議会が4年続く。なぜなら、こんな美味しい議会を、そう簡単に解散したりはしない。危なかろうが何だろうが、どんな法案でも通過してしまう。危惧する部分がないわけではない。

小泉首相は歴史に名を残すことだろう。いかなる手段であれ、これほどまでの大勝を果たしたのだから。9条改正論議も一気に進展するであろう。何はともあれ、自民党の大勝利を祝福したい。前回の衆院選とは違い、単独で圧倒的過半数を超えたこと。自民党の行動力がストレートに反映され得る。これが一番の祝福すべきことである。