日本A代表が威信をかけてアジアを制す

smallworldjp2004-08-07

アジアカップ2004が大詰めを迎えている。4年に一度開かれるこの大会は、アジア大陸のナンバーワンという称号を手に入れるため30を越える国と地域によって争われる。ちなみに日本は1992年広島大会、2000年レバノン大会において優勝している。今大会は優勝するしかジーコ監督の選択肢はないとも言われている。また、ホスト国が中国ということもあり、日本代表選手に対しては執拗にブーイングが飛ばされる。究極のアウェイ体勢で大会に臨む日本代表。目が離せない日本A代表の活躍をご覧頂きたい。

グループ予選結果

  • 7/20 18:00 日本 1 − 0 オマーン
  • 7/20 20:30 イラン 3 − 0 タイ
  • 7/24 18:00 オマーン 2 − 2 イラン
  • 7/24 20:30 タイ 1 − 4 日本
  • 7/28 18:15 オマーン 2 − 0 タイ
  • 7/28 18:15 日本 0 − 0 イラン
  • トーナメント1回戦 vsヨルダン

イードが左サイドをドリブル突破。田中が体を入れるがタックルでボールを奪い、フェイントでさらに1人をかわしてピンポイントのクロス。ゴール前で待ち構えたシェルバイエがヘディングシュート!たたきつけたボールが日本ゴールに突き刺さる。日本、先制を許す。前半14分。右サイドから中村のFK。柔らかいボールをゴール前に入れると、中澤がヘッドで流し、GKが弾いたところを鈴木が詰めてゴールに流し込む。日本、すぐに同点に追いつく。しかし、後半では両者予断を許さぬ攻防が続く。

延長に入ってからは一進一退の攻防。ヨルダンも日本も互いに決定機を作り出していったが、最後の最後で決められず、PK戦に突入。日本は最初の2本を外してしまい、絶体絶命のところまで追い詰められたが、決められたらヨルダンの勝利というところで、川口が奇跡的なセーブを連発し形勢を取り戻す。すると最後はヨルダンの選手が外し、日本がベスト4進出を果たした。バーレーンとの準決勝は3日、日本時間19時キックオフ。

  • ジーコ監督、試合直後のコメント

今日のPK戦のときに相手の選手は、われわれが外すたびにおどけてみたり、自分たちの勝利をアピールしたりしていた。あれはやってはいけないこと。わたしも絶対自分のチームにはやらせない。互いの尊重あってこそのスポーツ。その結果、彼らは家に帰らなければいけなくなった。

【前半】
舞台は重慶から済南へと移された。アウェイの雰囲気とは本当に独特なものがある。開始一分、三都主のダイレクトシュートはGKサイードにつかまる。玉田のエンドライン超えに対しては大歓声が湧き上がる。ここが完全なるアウェイなのだと思い知らされる。鈴木のチャンスもあったが、バーレーンが何とかクリア。CKを蹴るが、バーレーン選手がペナルティエリア外へ。6分、バーレーンアラー・フバイルによって先制点を奪われてしまう。10分、鈴木のファール。その後、11分、玉田はシュートを放つが、ゴールポストに当たってしまう。中村のFKから中澤のヘッドで合わせるが、ゴールポストのやや左を超えていく。15分、コーナー付近で明らかにファールと思われるタックルを鈴木が食らう。しかし、ファールにはならず。17分、遠藤がCKを蹴るが、ルーズボールに。その後、三都州のファウル。20分、中澤が一気に攻めるが、肩が当たりファウル。バーレーンのFKはゴール上を越えていく。22分、三都主から鈴木のきれいなパスがあったものの、鈴木のシュートはゴールの右側を通過。28分、三都主が爆走、センタリングを上げるも決まらない。33分、30番のアラー・フバイルが担架で運ばれる。36分、三都主のCKは低い位置へ。こぼれ玉から中村がシュートを狙うが、大きく右へそれていく。36分、再びCK。遠藤のCKはショートコーナーから再び遠藤とつなぎ、福西がシュートを狙うがファウル扱いとなる。40分、問題のシーン。遠藤がボールをキャッチし、一気にダッシュをかけるが、突然ホイッスルが鳴る。バーレーンの選手がのた打ち回っている。どうやら遠藤がパスした後、相手を殴った形になってしまったという。スローモーションで見ても、レッドカードをもらうようなファウルの事実は確認できない。相手の演技であると思われる。遠藤はレッドカードをもらい退場。日本は10人で戦うハメに。レフェリーまでもが、完全アウェイの様相を呈す。ロスタイム仁突入するが、目立つ場面なし。一点ビハインドで前半を終える。

【後半】
福西に代わり小笠原が加わる。2分、中村のCKを中田浩二のGKをなぎ倒すような見事なヘディングゴール!!1−1のタイに持ち込む。4分、玉田が一気に上がり、鈴木へパス。しかし、ここで玉田が足をかけられ、大きく前に一回転する。かなり危険なプレイであり、どう考えてもファウルであるが、ファウルは取られない。ジーコ監督も怒りを露にする。中村のCKだが、ゴールラインを割ってしまう。9分、バーレーンのCKのこぼれ玉を一気につなぎ、左サイドの玉田の見事なゴール!!2−1で日本がリード。15分、いいパスが出るが、オフサイド。このあたりから、バーレーンのファウルが目立ち始める。17分、バーレーンのFWアリに代わりナセルが入る。19分、上がった日本選手にバーレーン選手は積極的についてこない。小笠原の放つシュートはゴールポスト上を超える。23分、ドサリがシュートを試みるが中澤がナイスクリア。25分、GK川口と中澤が前に出たところ、アラー・フバイルの力のないシュートがなんと誰もいないゴールに決まってしまう。これで2−2のタイ。31分、中村が粘ってパスを出すがオフサイド。37分、日本、良いセンタリングは出るもののシュートまでつながらない。38分、バーレーンオフサイド。39分、バーレーンが一気に攻める。中澤、加地が付くが、左サイドに誰もいない。ついに逆転ゴールを許してしまう。この時点で3−2で日本1点ビハインド。42分、前に出すぎた川口がゴールの危機。しかし、三都主がクリア。43分、上がっていた西が一気にドリブル。しかし、ファウル。バーレーン選手が担架で運ばれる。バーレーンFK。これをキャッチし、西から玉田へとつなぎ、一気にドリブル。鈴木へのロングパスからから三都主へショートパス、そして、三都主のナイスなセンタリングパスを中澤が絶妙のタイミングで合わせる。体ごと突っ込んでヘディングゴール!!これで3−3に持ち越す。47分西のセンタリングは空を切る。三都主は何回転もするようなファウルを食らうが、ファウルを取られない。そのままロスタイム終了し、後半終了。

【延長(前半、後半)】
まさに獅子奮迅といった試合。2分、宮本のナイスディフェンスから玉田独走状態。ペナルティエリア寸前で一人抜き、一気にそのままゴール。これで4−3日本逆転。さらに3分、鈴木が上がり左サイドを一気に走るが、ファウルをもらう。5分、三都主がファウル。その後、バーレーンの攻めを許さず、西がフォロー。7分、センタリング上がるが、中澤タイミング合わず。8分、鈴木がスライディングでボールを奪い、センタリングのチャンスだが、奪われる。11分、川口にイエローカード。13分、ゴールの危機を川口が力ずくで回避。15分が終了。ハーフタイムを挟むことなく、後半が開始。1分、中村がバーレーン選手に殴られ、倒れる。ここでやっとバーレーンのジャラルにレッドカード。サッカーこそ格闘技なのだと実感させられる瞬間。3分、西がファウル。鈴木が独走、シュートを放つがポスト上を通過。4分、小笠原のファウル。5分、かなり危ないゴールの危機、だが宮本のナイスアシストで回避。7分、日本ゴール側で宮本が倒れる。完全にファウルなのに、ファウルを取られない。実況も怒りを露にする。8分、西のナイスクリア。鈴木が左サイドを攻めるが、何もなく終わる。11分、何度もピンチを迎える。14分、際どいシュートが川口の左を通過。ここで終了のホイッスル。4−3で日本がバーレーンを制す。

【総括】
過剰なブーイングとジャッジに偏りのあるレフェリーに囲まれた最悪のコンディションながら、なんとか勝利することができた。最悪なコンディションは重慶と変わらない。なんと言っても見所は後半39分の失点から、諦めることなく走って三都主から中澤に渡ったボールをゴールに叩きつけた奇跡とも言えるゴールシーンだ。中澤がいなかったら終わっていた。44分での華麗なパスワークから、体ごとヘッドで突っ込んだ。あの最悪の状況から、得点につなげることが出来た中澤はまさに救世主であった。相変わらずブーイングは止むことがなかった。その他にも、公平とは到底思えないようなジャッジメントが行われたことも事実だ。前半40分、遠藤は相手の顔に手が触れてもいないのに、レッドカードで退場となった。ここから10人で戦うことを強いられた日本。しかし、10人になってから日本の逆転劇は始まる。中田のヘッドで1点返し、さらに玉田が決める。そして、44分での中澤の奇跡的なゴール。ブーイングが逆に心地よく感じられたのではないかと思う。逆境を跳ね除けよく頑張った、我らがジーコジャパン。2日連続の奇跡を見た。残すは中国戦のみとなる。