多国籍軍への参加をブッシュ大統領と勝手に約束

smallworldjp2004-06-11

日米首脳会談が日本時間9日、米国ジョージア州シーアイランドで行われた。自衛隊の派遣を続ける事を表明したようだ。そして、新たに多国籍軍自衛隊を参加される事も表明してしまった。ブッシュによる殺戮を止めることなく、エスカレートさせるようだ。コンセンサスを得られぬまま始めてしまった戦争の代償は、計り知れないほど大きなものだったようである。

我々シビリアンに許された最期の選択が、日本の世論となりうるのだ。現場の隊員らには撤退か、残留かを議論する権利すら与えられないだろう。サマーワ自衛隊が到着してから五ヶ月。これまで活動してきた以上、撤退もあるまい。ついに「日本軍」が、国連の支配の及ばぬ多国籍軍に送り込まれるのだ。

また、多国籍軍自衛隊が参加するとなると、その活動内容によっては現行のイラク復興特別措置法では対処できない可能性がある。細田官房長官はこれについて言及を避けたが、今後与野党内で激論が展開される事は言うまでもない。それにしても、対北朝鮮にしても、対同盟国アメリカにしても国の首相たる人間が一歩も踏み出せないのか。そこが最大の疑問だ。ジェンキンス問題にしても小泉氏は放置したままだ。

「これは米国の大義の勝利だ」。小泉首相は首脳会談でブッシュ大統領イラク政策について、こう言及した。小泉氏は何をもって、アメリカにとっての大義だとしているのだろうか。武器を捨て逃げ回るイラクファルージャの市民を皆殺しにすることだろうか。また、大量破壊兵器が見つからなくても、独裁をやめろという「大義のすり替え」でフセイン元大統領捕まえたことを言っているのだろうか。自由、民主を掲げる国のトップが暴君と化している。自分の描いたように、思い通りに世界地図を塗り替えようとしている。

2001年9月11日の国際貿易センターへのテロに対するアフガニスタン報復攻撃を開始する際、ブッシュ大統領はなんとアフガニスタンの位置すら正確に知らなかったそうだ。かつてTBSが終戦記念日に放送したニュース番組で、イラク戦争を開始する直前のブッシュのコメントにこんなテロップをつけた。「攻撃の正当性が問題ではなく、我々の意思が問題だ。」明らかにそのテロップは誤訳(もしくは故意にそう表示した)とされているが、そうでもしないと国民がブッシュの愚かさに気付かないという現実はなかっただろうか。日本の大手メディアが捏造してまでも、大げさに、伝えたいことだったように思える。

キレイ事なんて言うな。命には値段があって、その値段は平等なんかじゃない。それだけが現実じゃないか。もし「それは違う」とでも言うのなら、見つかるわけのない大量破壊兵器をでっち上げて始めた戦争とその終戦宣言後に激化したファルージャにおける米軍の掃討作戦によって犬死にした市民たちをどう説明するのだろうか。法治国家の恩恵を享受しながら、平和憲法に守られたこの日本に育った日本人は戦争とはまったく関係のない平和な生活を送り、一方では軍事的にもアメリカに協力しようとしている。これが戦後教育の狙いだったのかもしれない。現実を話せば口を揃えて、「そんなことはないよ。命に値段などないよ。」などと、能天気な口調で話す。これを偽善者という。この世で一番愚かでタチが悪いのが、この偽善者である。

私は右派を気取るつもりも、左派を演じるつもりもない。ただ、イラク戦争をただ指をくわえて見過ごしてきた方々にも、現実を見極める能力くらいは「アメリカの同盟国である日本の国民」として身につけてほしいと願うばかりである。偽善者で構成された国など、もうまっぴらだ。何もアメリカの肩を持つなとは言うまい。ただ、それなら自分の国のためなら下等諸国の市民の命を平気で奪う事が出来るような国、もしくはその同盟国の国民だと自覚してほしいのである。そんな自覚もなしに何が国民の権利だ。笑わせるな。

キーワード【多国籍軍
国際紛争や内乱を鎮めるため、ある国とその同盟国や友好国が派遣した連合軍。▽1990年8月のイラクによるクウェート侵攻以来、アメリカ合衆国を初め28か国がペルシャ湾岸とその周辺に派遣したさまざまな部隊が、最初の多国籍軍となった。◇多国籍軍は、国連安全保障理事会の対イラク武力行使容認決議にもとづいて派遣されたが、あくまで多国籍軍であり、国連憲章にもとづく国連軍ではない。1992年12月、ソマリアにもアメリカを中心とする多国籍軍が派遣された。