現代ジョージ・ウォーカー・ブッシュ研究

smallworldjp2005-05-22

カルヴァンの影響を強く受けた熱心なプロテスタントジョージ・W・ブッシュ大統領。ルターとは違った、カルヴァンの「予定説」がある。人間は生まれながらにして、天国に行けるか行けないかは決められているという教えである。最初から決まっているならば、何をしても構わないと思うかもしれない。だが、カルヴァンの教えは違った。人は誰でも、天国に行けるか不安になるのが、その不安を払拭するために本当に一所懸命働くのだという。つまり、一生懸命働くことによって、神に選ばれし者であることを証明しなくてはならない。人のために尽くし、貢献しなければ天国へ行くことはできないからだ。

ジェファーソン大統領の就任から長い月日がすぎました。多くの月日といろいろな変化が重なりましたが、今日の日のテーマがわれわれの国の壮大な勇気の物語であり、威厳のあるシンプルな夢であることをジェファーソンは分かっていることでしょう。

われわれはこの物語の作者ではありません。作者は神であり、無限の時をその目的を達成するために使っています。しかし神の目的を達成するのはわれわれの義務です。われわれの義務は、お互いへの奉仕によって果たされます。

疲れることなく、投げ出すことなく、止めることなく、われわれの国をより公正でより寛大なものにするため、われわれのありとあらゆる生命の尊厳を肯定するために、われわれはその目的を今日新たにします。

この仕事には終わりがありません。この物語は続いて行きます。そして天使はまだ旋風にのり、このあらしをおこしているのです。

あなたがたに神の恩寵がありますように、そしてアメリカにも神の恩寵がありますように。(第一期就任演説より)

ブッシュもまた、その教えを実践している一人だ。50代になるまで、テキサス州の知事に就任するまでは実業家の肩書きを持ち、野球チームの監督も経験した。当時は酒に溺れ、タバコを吸い、麻薬をやって堕落した人生を送っていた。そんな男が州知事になると同時に、180度人間が変わることとなる。酒を一切断ち、タバコも薬物もやらない。クリントンとは違い、浮気もしない。聖書によって神の声を聞いてから、夜の9時には眠りにつく。真人間に生まれ変わったのだ。カルヴァンの影響を強く受けていると言われる所以は、次のことにある。基本的にプロテスタントカソリックの違いは、神の下に教会と政治が並列するか、教皇の下に国王がつくか、である。神と対話する方法は聖書を読むほかない。ブッシュはよく、聖書に手を置いて、「神の名において」とか「神に誓い」などと言うことが多い。

イギリス国教、ピューリタンカソリックの争いは続いた。アメリカ国民は「神に選ばれし者」という自覚を持っている。安全保障に敏感なのも、至極当然のことである。ブッシュが再選した謎、アメリカ国民は世界の田舎モノで、世界をよく知らない。9・11からアフガン空爆イラク戦争へのシナリオはアメリカ国民にとって、非常に寛容に受け入れられた。12年に及ぶ経済制裁があったとはいえ、大義が誤りであったことを関係ないことであるといい、ブッシュを再選させてしまうようなアメリカ国民の未来は暗い。米国のユニテラリズムが音を立てて崩れ始めた。