言論世界の自由を拡大するべく戦うべし

smallworldjp2005-03-27

憎悪と怒りの支配を打ち破り、圧政者の正体を暴き、慎み深く寛容な人々の希望に報いることができる唯一の力が自由の力だ。
米国での自由の存続は、他国での自由の成功にますます左右されるようになった。世界平和達成のため最も望まれるのは、全世界に自由を拡大することだ。

ブッシュ大統領、2期目就任演説からの引用である。イラク戦争開戦から2年が経過した。イラク戦争は国連決議を無視して始めた戦争だったが、後に打ち出した「自由の拡大」とは圧制国家を打倒するという論理で筋道を立てている。これが「ブッシュ・ドクトリン」である。NHK-BS1で放送された「イラク戦争とメディア」では、イラク戦争から帰還した海兵隊員らを取材している。足を一本失っても、イラクの将来のために貢献できるのなら、喜んでそれを望むと言った。戦うのは大統領ではなくて、前線部隊の兵隊である。ある者は大学の奨学金をもらう為に、またある者はイラクの現状を伝える為にイラクへ旅立った。

軍の問題児はイラク戦線を離れるよう命じられた。その父親もまた志願兵であった。父は負傷し、脚の皮膚を移植するほどの大怪我を顔面に負う。息子「この戦争に価値があるのか。」との問いには、「自分の立場からは、価値がある。また、招へいされればイラクへ行く。」と淡々と答える。様々な主義主張があっていい。イラク戦争を支持する人も、反対する人もいて当然だ。しかしながら、信念を最後まで貫こうとする志願兵の彼らの態度は素直に評価してよいのではなかろうか。

休暇をもらった兵士が一時帰還し、大工の父親と再会を喜ぶ。緑が多くて、イラク人もいない。死体の臭いもしない快適な時間はあっという間に終わり、再び軍への復帰を要請される。「初めてイラクへ入ったときと違い、今は自分が何をするべきかもわかっている。早く任務を終わらせて帰りたいよ。」と出発の準備を始めた。大工の父親は誇らしげに見守っているが、母親は息子と抱き合って「本当に気をつけるんだよ。」と涙を流しながら、息子を心配する。本人は何か悟りでも開いたかのように落ち着いている。

公と私の意味はそういうことなのだと思った。イラクは危険だ。しかしながら、一度決意したことを全うするために任務に就く。それは、もちろん金銭のためでもあるが、それだけではない。使命感を持たねば、途中で怖気付いてしまうだろう。愛国者であるが故、戦争に反対するアメリカ人は多数存在する。本当の自由とは、どんな意見も受け入れる寛容さにある。別の利権、目的を持った日本の反戦運動家とは根本的に違う。政府の決定が誤ったものであったときに、それを徹底的に糾弾する。しかしながら、誇り高き自由の国のために戦死した彼らを慰霊するのだ。その姿は素直に感動できるものである。

北朝鮮核兵器保有を宣言し、中国は国家分裂法を制定した。気だるい平和は終わり、「全く関係ない世界のこと」と言える時代は終わる。

それでも嘘の大義で開戦に至ってしまったことで、重大なミスを犯してしまったことはこれからも糾弾していく必要はある。二つ返事で自衛隊にGOサインを出してしまった小泉首相も然りである。